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<1978年駿河の昆虫目次(No.100〜103)>

 駿河の昆虫 No.100 (発行:1978年3月31日〔100号記念号〕)

池田二三高:100号記念号の発行にあたって 2921

清 邦彦:静岡県および山梨県のスジグロチャバネセセリ属 2922〜2928
 セセリチョウ科のThymelicus 属の2種.スジグロチャバネセセリとヘリグロチャバネセセリの静岡県,山梨県の分布及び生態に関する概活的な解説である.その内容としては,(I)地理的分布として,まず2種の静岡県,山梨県での採集,目撃記録を引用文献と共にすべてあげている.それによるとスジグロチャバネセセリは静岡県では磐田郡水窪町の2地点から記録されたのみであるが,山梨県では42地点の記録があり,関東山地から大菩薩周辺,御坂山地東部,道志山塊に分布している.しかし南部の富上川中流や富士山麓には分布しない.ヘリグロチャバネセセリは静岡県では磐田郡佐久間町中部,富士宮市田貫湖周辺,同市猪之頭北西の沢,根原など5地点が知られ,山梨県では]17地点から知られる.即ち南アルプスの中心部や甲府盆地の沖積地を除いた広い地域に分布し,とくに櫛影山周辺,富士川中流,富士北麓に多く生息する.(U)生態とその比較について,@垂直分布はその中心が両種とも1000 m前後である.A成虫出現期は同一標高地ではヘリグロチャバネセセリの方が10日ほど早く出現し,「季節的すみわけ」がみられる.B幼虫の食餌植物はスジグロチャバネセセリはヤマカモジグサ〔正しく同定されたものではない〕.ヘリグロチャバネセセリがヒメノガリヤス.C成虫の吸蜜植物はスジグロチャバネセセリがとくにシデシャジンと,ヘリグロチャ八ネセセリがとくにオカトラノオとよく結びついている.G両種の生息環境については,両種共に樹林と草原が適度に混在する環境が必要であると述べている.

高橋真弓:静岡および山梨県のコキマダラセセリとアカセセリ 2929〜2936
 セセリチョウ科のアカセセリ亜科Hesperiinaeに属する2種コキマダラセセリとアカセセリの分布,生態に関する概括的な解説である.その内容は(I)地理的分布と採集記録としてまず分布の概要を述べ,つづいて両種の確実と思われる記録地点(目撃記録も含む)をあげている.それによるとコキマダラセセリでは神奈川県の3地点,静岡県の38地点,山梨県の62地点,アカセセリでは静岡県の1地点,山梨県の29地点となっている.(U)分布と気候では,温帯で落葉広葉樹林の成立するところで夏の日最低気温があまり高くならない所である.垂直分布の中心はコキマダラセセリでは海抜900〜1300m,アカセセリでは海抜800〜1300 mというように大差はない.(V)分布と食草では,コキマダラセセリの主要な食草はススキであり,垂直分布の上限がススキの分布上限とほぼ一致している.一方アカセセリの主要な食草はヒカゲスゲであり,これはアカセセリの地理的分布の制限要因となり得ない.(W)両種の混生とすみわけについて,両種の混生地においてアカセセリはコキマダラセセリより約2週間遅れて羽化する.そしてコキマダラセセリの主要な吸蜜植物はノアザミ,ウツボグサ,ノハナショウブなどで,アカセセリはカセンソウを特に好み,コウリンカ,マツムシソウにもよく集まる.このように両種の羽化期のずれが好む吸蜜植物の種類を変化させ,競合をさけるような季節的すみわけに発展したものと推論している.

鈴木英文:静岡・山梨県のヤマキチョウ属について 2937〜2M4
 シロチョウ科Gonepteryx 属の2種ヤマキチョウとスジボソヤマキチョウの静岡県と山梨県における分布,生態に関する概括的な解説である.その内容は(I)各地における分布について,まずヤマキチョウは両県で最も個体数の多い地域である富士山麓,特に西北麓から東北麓にかけての北半分に記録が集中していることをあげている.そして富士川,早川以西には分布しないだろうと述べている.ヤマキチョウのこれまでの記録地点として静岡県で9地点,山梨県で48地点をあげ,一方,スジボソヤマキチョウはヤマキチョウに比べてより分布が広く,富士山麓一帯と安倍川上流,大井川中,上流,磐田郡水窪町などにも記録がある.静岡県で36地点,山梨県で81地点の記録をあげている.(U)生息環境としてはヤマキチョウの食餌植物であるクロツバラの分布がヤマキチョウの分布を規制する要因であるとしている.そしてヤマキチョウの本来の生息地は標高800〜1500 mの間にある.また,スジボソヤマキチョウの食餌植物クロウメモドキはクロツバラより広い範囲に分布し,森林内や沢筋などの日陰地にも生育する.このことはスジボソヤマキチョウの分布を広くしている要因であると述べている.そしてスジボソヤマキチョウの本来の生息地は標高500〜1600 mの間にあるとのべている.(V)食物その他については,成虫の訪花植物としてヤマキチョウはコウゾリナ,タムラソウ,ネキなど5種,スジボソヤマキチョウはタムラソウ,ヒメジョオン,オカトラノオ,リョウブなど11種をあげている.

諏訪哲夫:静岡県・山梨県のツマジロウラジャノメ 2945〜2953
 ジャノメチョウ科Lasiommata 属のツマジロウラジャノメについて,静岡,山梨両県における分布,生態面での概括的な解説である.その内容は(I)地理的分布として,@各地の分布の概要を富土山およびその周辺,安倍川流域,大井川流域,天竜川流域,御坂山地,早川流域,富士川中流および釜無川西方山地,関東山地について述べている.著者はこれに伊豆半島を加えて言及しており,伊豆半島にはこれまで目撃の記録さえ全くなく,分布していない可能性が高いとしている.続いてA両県におけるこれまでの採集,目撃記録地の主な記録として静岡県の51地点,山梨県の51地点をあげている.(U)垂直分布と発生期と題して解説をすすめ,標高2000m以上の地域では8月に第1化が現われ,年1回発生にとどまり,標高が下がるにしたがって化性を増し1000 m以下の地域では年3回発生であり,第1化が5〜6月,第2化が6〜7月,第3化が9月に現われると述べている.(V)食性については幼虫の食草として静岡県ではカモジグサ,ヒメノガリヤス,ノガリヤスの記録があり,山梨県からはヒメノガリヤスの記録がある.とくにヒメノガリヤスは重要な食草と考えられ,これが山地の露岩地に生育する場合は幼虫の食草になりやすいと述べている.また,成虫の訪花植物として,両県下でこれまでにキキ,ヒメジョオン,センジュガンピ,マルバウツギなど8種の植物をあげ,本種は花にくるが樹液,水,糞,死骸などに集まる例は見ていないと述べている.(W)環境と分布については,標高200〜2,780 mの広い範囲に及ぶが,分布の中心は500〜1800mであるという.ツマジロウラジャノメの分布にとっては夏の日気温較差(日較差)が大きな意味をもち,高温が1日中連続せず,日中は高温になっても夜間はかなりさがる内陸性の気候が生息に適していると推論している.

渡辺一雄:静岡県の蛾類・ヤガ科 2954〜2957
 静岡県においてこれまでに分布が確認されたヤガ科を亜科ごとの種類数として記録し解説をそえている.それによるとウスベリケンモン亜科(7種),ケンモン亜科(23種),キノコヨトウ亜科(3種),タバコガ亜科(3種),モンヤガ亜科(34種),ヨトウガ亜科(45種),セダカモクメ亜科(28種),カラスヨトウ亜科(87種),フサヤガ亜科(4種),キノカワガ亜科(21種),コヤガ亜科(50種),キンウワバ亜科(28種),シタバガ亜科(H6種),アツバ亜科(25種),クルマアツバ亜科(37種)の計15亜科511種である.この中にはシタバガ亜科のオオルリオビクチバ,サザナミクチバなど南方からの迷蛾と思われる種類も含まれている.

草間慶一:静岡県のカミキリ 2958〜2977
 静岡県に分布するカミキリムシの仮目録を中心とした概括的な解説である.(I)静岡県のカミキリ研究史として,江戸時代末期(1853年)にロシアのゴシケビッチが伊豆でカミキリを採集した話からはじまって現在に至るまでの多くの外国人,日本人による研究業績を記している.(U)カミキリの種類と題して,カミキリの多産県である長野県,静岡県,山梨県,福島県,和歌山県における亜科別のカミキリ種類数と本州全土のそれとを比較した表を示している.それによると静岡県からは293種のカミキリが記録されており,長野県の310種に次いでカミキリ多産県であることが分かる.(V)静岡県産カミキリ仮目録として8ページにわたる表を示し,290種のカミキリを県内の10地域別にプロットしている.(W)静岡県下で採集の可能性のある種として表に21種類をあげている.

池田二三高:静岡県のハチ 2978〜2979
 静岡県のハチ相について,これまでに県下から記録されたハチの科別の種類数を示している.それによると,クキバチ科(1種),ヒラタハバチ科(2種),キバチ科(2種),ハバチ科(32種),コンボウハバチ科(3種),ミフシハバチ科(2種),ヒメバチ科(17種),コマユバチ科(3種),シリアゲコバチ科(2種),アシブトコバチ科(3種),オナガアシブトコバチ科(1種),ツチバチ科(8種),コツチバチ科(4種),アリバチ科(4種),カギバラバチ科(1種),セイボウ科(8種),スズメバチ科(28種),アナバチ科(36種),ベッコウバチ科(14種),ミツバチモドキ科(1種),ヒメハナバチ科(1種),コハナバチ科(2種),ハキリバチ科(15種),ミツバチ科(12種)の計24科203種である.これらの数値はこれまでに発表された数少ないリストを総合したものであり,まだこれから研究が進めば種類数が飛躍的に伸びる可能性を示唆している.最後に,地上孔を利用して営巣するハチの研究と題して,各種の太さの竹筒を束ねて,これを各地域にセットし,それを次の年の冬に回収して,営巣したハチの種類を調べてリストをつくる方法を紹介している.この方法を県内全地域でおこなえばそれから得られる成果は非常に大きいと述べている.

中村浩三:静岡県のショウジョウバエ 2980〜2982
 今まで静岡県下で行われたショウジョウバエに関する調査研究の経過とその成果の一部が以下の3項目にわたって記されている.(I)調査研究の経過として,1938年,1962年,1963年,1964年,1966年,1971年,1972年,1974年に県内各地で分布,生態などについての調査研究がなされたとして,調査者と調査地をあげている.(U)分布の概要として,上記調査の結果,三島市で6属33種,富士山で7属44種,天城山一帯で8属75種,静岡市で13属59種が明らかになったとしている.これらの中には新種として記載されたもの4種と最近外国より侵入した種類1種が含まれる.新種としては@ツバキショウジョウバエ,Aヤマトサラサショウジョウバエ,Bカンザシヒメショウジョウバエ,Cハネモンショウジョウバエ.侵人種はDorsophila similansである.(W)今後の調査研究の方向として,@県下の未調査地,とくに南アルプスなど高山地帯の分布調査.A人家性キイロショウジョウバエや,野生種の越冬個体の生理学的,生態学的研究.B野生種の食性調査などを研究課題としてあげている.

渡辺一雄:静岡県の半翅目・セミ科 2983〜2984
 静岡県に産するセミの種類,分布,生態などの簡単な解説である.内容のおもなものは(I)セミの種類と題して,県内に分布するセミの名前をあげている.それによると,@ニイニイゼミ,Aコエゾゼミ,Bエゾゼミ,Aアカエゾゼミ,Bクマゼミ,Eアブラゼミ,Fハルゼミ,Bエゾハルゼミ,Hヒメハルゼミ,Iヒグラシ,Eミンミンゼミ,Iツクツクボウシ,Iチッチゼミの計10属13種.(U)セミの分布,生態として,各種の出現期や生息環境,好む樹種などについて述べ,とくにヒメハルゼミについて詳しい記述がある.

福井順治:静岡県のトンボ相とその問題点 2985〜2987
 静岡県下のトンボに関する概説として,(I)はじめに県下のトンボ研究の現状を述べ,県下のトンボについて発表された文献の編数をあげている.それによると本県は52編にすぎず,三重県(342編),長野県(262編),愛知県(187編),岐阜県(89編)など近隣の諸県に比べて調査が遅れていることを指摘している.(U)静岡県下に記録されているトンボとして,均翅亜目,イトトンボ科(10種),モノサシトンボ科(2種),アオイトトンボ科(5種),カワトンボ科(4種),ムカシトンボ亜目,ムカシトンボ科(1種),不均翅亜目,ムカシヤンマ科(1種),サナエトンボ科(16種),オニヤンマ科(1種),ヤンマ科(13種),エゾトンボ科(4種),ヤマトンボ科(2種),トンボ科(25種)の計3亜目12科84種の種名を列記している.(V)静岡県のトンボ相の問題点として,@海を渡ってくるトンボの生態について,オオギンヤンマ,ハネビロトンボ,ウスバキトンボについて,飛来時期,定住性,発生状況などの問題点を指摘している.ATrigomphus 属のサナエトンボの分布として,県下に産するコサナエ,フタスジサナエ,タベサナエの3種の分布域や混生状態の調査の必要性について述べている.Bヒメクロサナエの2つの型,とくに安倍川水系のものは東北日本型,西日本型,その中間型の3つの型が見つかっており今後の調査が望まれると述べている.Cカワトンボの問題として,本県産カワトンボの各亜種(又は種)の分布,生態等の調査をし直す必要を説いている.

杉本 武:静岡県の直翅目について 2988〜2993
 静岡県に産する直翅目の分布に関する概説である.なお,ここでいう直翅目とは広義的にとらえたもので,バッタ,コオロギ,キリギリスなど真性の直翅目のほかに,ゴキブリ,カマキリ,ナナフシ,ガロアムシなど現在は独立の目として扱われているものも含めている(T)分布調査の方法として,昼間および夜間の採集による方法が原則であるが,発音する種類では場合によっては,その鳴き声を聞きわけて分布を確認する方法をとることもあると述べている.(U)静岡県における直題目の生息環境として,@海岸地帯,A河川,B平野部,C山岳地帯,D市街地とその周辺の5つの環境区分を示し,それらの環境に生息する代表的な種類をあげて概説している.(V)静岡県産直翅目の目録として,これまでに採集して確認された種類を科別にリストアップしている.それによると,バッタ科(21種),キリギリス科(28種),コロギス科(2種),カマドウマ科(5種),コオロギ科(40種),ケラ科(1種),ノミバッタ科(1種),ゴキブリ科(5種),カマキリ科(6種),ナナフシムシ科(2種),ガロアムシ科(1種)の計11科112種を記録している.

 駿河の昆虫 No.101 (発行:1978年7月10日)

坪井俊久:天竜市二俣町の甲虫類(W) 2995〜3004
 天竜市二俣町に棲息する甲虫類について,著者の採集記録を中心とした報告.本号ではゴミムシ科,追加記録としてのヒョウタンゴミムシ科,ホソクビゴミムシ科,カミキリムシ科,タマムシ科の報告.その他に本州初記録のホソクロハナノミについての報告.本種は南方暖帯系の種で鹿児島県大隅半島より東での記録は始めてである〔駿河の昆虫(97)より(102)まで順次発表されたが,静岡県西部地方の甲虫類の棲息分布を知る上で大変貴重なデータの集積である.〕

鵜飼貞行:磐田市樋が谷沼のマルタンヤンマ♂の行動 3004
 活動するのは朝と夕方で,♂が観察されたのは8月下旬〜10月下旬.1977年の本種採集記録が付記されている.

平井克男:安倍川水源地域甲虫類調査報告一富士見峠より井川峠にかけて−3005〜3013
 1968年より採集された甲生類の記録報告.ハンミョウ科(1種),エンマムシモドキ科(1種),デオキノコムシ科(1種),ハネカクシ科(4種),クワガタムシ科(3種),コガネムシ科(12種),センチコガネ科(1種),ジョウカイボン科(1種),ベニボクル科(1種),コメツキモドキ科(1種),コメツキムシ科(6種),コクヌスト科(1種),ヒラタムシ科(1種),ジョウカイモドキ科(1種),ホソカタムシ科(1種),ケシキスイムシ科(2種),オオキノコムシ科(1種),ゴミムシダマシ科(3種),ハムシダマシ科(2種),キノコムシダマシ科(1種),アカハネムシ科(2種),ナガクチキムシ科(1種),カミキリムシ科(72種),ハムシ科(4種),ヒゲナガソウムシ科(2種),オトシブミ科(5種),ゾウムシ科(4種)の報告[フジヒメハナカミキリ,クロホソコバネカミキリ,ヒメオオクワガタ,ツヤハダクワガタなど貴重な記録がある.〕

新井秀子:山梨県南巨摩郡富沢町石合川の蝶 3014〜3015
 1974年〜1977年にかけて石合川流域での調査報告.アカシジミ,ウラゴマダラシジミ,ミスジチョウなど,アゲハチョウ科(10種),シロチョウ科(5種),シジミチョウ科(10種),ウラギンシジミ科(1種),マダラチョウ科(1種),タテハチョウ科(13種),ジャノメチョウ科(3種),セセリチョウ科(8種)の報告.

諏訪哲夫:1977〜1978年ミドリシジミ類の分布調査 3015
 冬期の採卵によるミドリシジミ類の分布調査報告.アイノミドリシジミ,ヒサマツミドリシジミ,キリシマミドリシジミ3種を採卵後,飼育羽化.採卵地は静岡県内の榛原郡本川根町,中川根町,三島市来光川,山梨県南巨摩郡身延町などである.

北条篤史:モンシロチョウ属の食性調査記録V(1977年) 3016〜3019
 駿河の昆虫No.95,97にT,Uが報告されているモンシロチョウ属3種の食性調査記録.焼津市小浜海岸,青森県白神山地,津軽半島,山梨県北岳などでのモンシロチョウ,スジグロシロチョウ,エゾスジグロシロチョウの食草及び棲息環境,飛翔,訪花などの細かな観察報告.


      インセクトノート
779 相曽尚人:静岡県西部地方の蝶類数種の記録 3020
 1974年から1977年にかけてスギタニルリシジミ,ウラクロシジミなど5種の記録.

780 平井克男:静岡市小坂熊野神社のコジマヒゲナガコバネカミキリ 3020
 1977年4月6日,熊野神社境内でのコジマヒゲナガコバネカミキリ他甲虫類5種の記録報告.

781 北条篤史:赤石山脈北岳の蝶 3021
 1977年8月8日〜10日,山梨県中巨摩郡北岳および周辺での記録.ベニヒカゲ,コヒオドシなど8種の報告.

782 鵜飼貞行:磐田郡福田町に産するトンボ 3021
 1974年から1977年にかけて福田町福田中学校近くの池に産したトンボの記録報告.クロイトトンボ,マルタンヤンマ,ネアカヨシヤンマなどトンボ39種の報告.

783 北条篤史:静岡市安倍峠の蝶 3022
 1977年7月20日,安倍峠におけるホシミスジ他12種の記録報告.

 駿河の昆虫 No.102 (発行:1978年8月31日)

福井順治:佐久間・水窪のトンボ 3023〜3028
 磐田郡佐久間町,磐田郡水窪町に産するトンボの記録報告.イトトンボ科(4種),アオイトトンボ科(3種),カワトンボ科(3種),ムカシトンボ科(1種),ムカシヤンマ科(1種),サナエトンボ科(5種),オニヤンマ科(1種),ヤンマ科(6種),エゾトンボ科(1種),ヤマトンボ科(2種),トンボ科(13種)でこの地域を特徴づける種としてホソミオツネントンボ,ムカシトンボ,クロサナエ,ヒメクロサナエ,オジロサナエ,ルリボシヤンマが記録されている.

鵜飼貞行:静岡県中部・西部のトンボ類の採集記録(1976〜1977) 3028〜3030
 浜北市森林公園,磐田市樋が谷沼,掛川市逆川,島田市天徳寺・人草,藤枝市志太温泉,静岡市畑薙・諸川・鯨ガ池,清水市興津,〔浜松市〕三方原町花川,磐田郡福田町福田,榛原郡金谷町佐夜の中山,榛原郡中川根町家山野守ノ池におけるイトトンボ科(9種),モノサシトンボ科(2種),アオイトトンボ科(5種),カワトンボ科(3種),サナエトンボ科(5種),ムカシヤンマ科(1種),ヤンマ科(7種),ヤマトンボ科(2種),エゾトンボ科(3種),オニヤンマ科(1種),トンボ科(23種)の報告.

渡辺一雄:遠州地方のギンイチモンジセセリの2産地 3030
 浜松市豊西町,湖西市梅田における本種の観察記録報告.

坪井俊久:天竜市二俣町の甲虫類(V) 3031〜3033
 天竜市二俣町に棲息する甲虫類の記録報告.ヒラタムシ科,および(I)〜(W)の追加記録報告,カミキリムシ科クロツヤヒゲナガコバネカミキリは静岡県下初記録であり貴重な記録である.〔104にて種名訂正あり〕

平井克男:1976年〜77年静岡市真富士山付近甲虫類調査報告 3034〜3035
 カミキリムシ科31種を中心にオサムシ科,デオキノコムシ科,シデムシ科,ハネカクシ科,クワガタムシ科,コメツキムシ科,ゴミムシダマシ科,ナガクチキムシ科,ホソカタムシ科,ハムシ科,ヒゲナガソウムシ科の記録報告.トラフホソバネカミキリ,クモノスモンサビカミキリなどの注目すべき記録がある.

渡辺建司:トラマルハナバチの巣調査報告 3036〜3037
 1975年9月27日,山梨県南都留郡河口湖町小立地区にて採集されたトラマルハナバチの巣についての概要と採集地の巣から羽化した個体数についての報告.野外での本種の巣が発見されるのは珍しい.巣室の状態,成虫の翅長別個体数が表で示されている.

渡辺一雄:静岡県産カメムシ類〔U〕 3038〜3039  本誌No.95に〔I〕を報告.更にカメムシ科,ツノカメムシ科,ヘリカメムシ科,ナガカメムシ科,サシガメ科,メクラカメムシ科の17種を報告.

松本芳弘:富幕山周辺と県境の蝶類分布調査 3039〜3043
 1977年から1978年にかけて静岡県〜愛知県県境地域における報告.調査地は引佐郡引佐町奥山高原,奥山高原より富幕山ハイキングコース,愛知県南設楽郡鳳来町黄柳野で,アゲハチョウ科(9種),シロチョウ科(4種),マダラチョウ科(1種),テングチョウ科(1種),ジャノメチョウ科(6種),タテハチョウ科(16種),シジミチョウ科(16種),ウラギンシジミ科(1種),セセリチョウ科(10種)の記録報告.

相曽尚人:湖西連峰の蝶 043〜3045
 静岡県西部地方浜名郡新居町,湖西市新所原,愛知県豊橋市二川・葦毛湿原でのギフチョウ,ヒメヒカゲ,ウラナミジャノメなど蝶48種の記録報告.

中島丈治:伊豆半島のキリシマミドリシジミ 3046〜3047
 1977年10月18日〜23日,伊豆天城連峰におけるキリシマミドリシジミの採卵による調査報告.賀茂郡松崎町長久郎山など4箇所で記録,羽化数が付記されている.


      インセクトノート
784 坪井俊久:コカブトムシの採集例 3048
 1976年7月28日磐田郡豊田町における1♂の記録.

785 北条篤史:焼津市東部付近の蝶 3048
 1978年焼津市東部地方におけるエゾスジグロシロチョウなど10種の記録.

786 相沢和男:山梨県下部町下部にてギフチョウを採集 3049
 1978年5月5日国鉄下部駅付近の沢における1♀の記録.

787 北条善一:山梨県増穂町泊平でウスバシロチョウ採集 3049
 1978年5月21日山梨県増穂町泊平での本種3♂♂および11種の蝶の記録.

788 渡辺一雄:遠州地方のクロコノマチョウの2産地 3050
 1976年9月5日浜北市森林公園で1♀,1978年4月10日天竜市六郎沢で1頭目撃の記録.

 駿河の昆虫 No.103 (発行:1978年12月31日)

清 邦彦:富士西麓のウスバシロチョウ 3051〜3054
 富士山西麓におけるウスバシロチョウの記録報告.発生地は天子山脈と富士裾野の平坦地との接点である.富士山北麓での記録報告もあり,富土山周辺での棲息についての調査の必要性を説いている.

福井順治:佐久間ダム灯火に飛来するスズメガの記録 3054〜3058
 天竜川佐久間ダムの水銀灯に飛来するスズメガ科32種の1972年9月より1973年8月までの調査報告.現場での同定計数作業により1年を通じての種別総個体数を表わした.コスズメ,ホソバスズメ,ビロウドスズメ,サザナミスズメ,ハネナガブドウスズメ,クルマスズメの順に個体数が多い.

渡辺一雄:湖西市梅田の蝶 3058〜3060
 1977年,1978年4月〜7月にかけ湖西連峰の麓にある湖西市梅田地区におけるミズイロオナガシジミ,ウラナミジャノメなど40種の報告.

高橋真弓:静岡市突先山8月下旬の蝶 3060〜3062
 1978年8月22日静岡市突先山における蝶27種の報告.特にヒメキマダラヒカゲ,ヤマキマダラヒカゲ2種についての観察がされている.

高橋真弓:静岡市竜爪山8月中旬の蝶 3062〜3063
 1978年8月13日竜爪山におけるヤマキマダラヒカゲなど蝶類23種の報告.

渡辺一雄:遠州地方のトンボ雑話〔1〕 3063〜3064
 遠州地方に産するトンボ目で貴重な記録であるサラサヤンマ,ミルンヤンマ,クロスジギンヤンマ3種の採集記録.および幼虫,成虫の観察記録.

渡辺一雄:磐田郡水窪町の蝶(1978年) 3064〜3066
 1978年5月3日,5月14日,5月21日,7月27日,8月19日,8月20日,水窪町青崩峠,兵越峠,大嵐,河内浦,戸申山での蝶類.セセリチョウ4種,アゲハチョウ科6種,シロチョウ科5種,シジミチョウ科5種,タテハチョウ科13種,ジャノメチョウ科5種の報告.注目すべき種として,スギタニルリシジミ,キベリタテハ,コムラサキ,ヤマキマダラヒカゲの報告かおる.

清 邦彦:蝶の訪花個体致調査覚え書(本栖高原8月下旬) 3066〜3067
 1978年8月22日山梨県西八代郡上九一色村本栖高原における蝶の訪花の観察記録調査.イチモジセセリは各種の花を訪れるが,ジャノメチョウはヒメトラノオなど3種に限られる.

清 邦彦:蝶の訪花個体数調査覚え書(藁科川8月下旬) 3068
 1978年8月24日静岡市安倍川支流藁科川提防上(静岡市新間〜谷津)での蝶の訪花個体数の調査.イチモンジセセリはヘクソカズラと,ヤマトシジミはカタバミと,ツバメシジミ・ミヤマシジミはコマツナギとの結びつきが強い.

清 邦彦:富士宮西方丘陵6月の蝶 3069
 1978年6月11日,富士宮西方丘陵における蝶7種の報告.ホシミスジ,平地性ミドリシジミ類の報告がある.[No.104にてヒメキマダラヒカゲをヒメキマダラセセリに訂正]

清 邦彦:山梨県身延町椿草里8月の蝶 3069〜3070
 1978年8月12日,山梨県南巨摩郡身延町塩之沢,椿草里におけるミヤマシジミなどチョウ類22種の記録.

高橋真弓:雨畑林道8月下旬の蝶 3070〜3071
 1978年8月24日,山梨県南巨摩郡早川町大島,雨畑,室草里,長畑を経て静岡市山伏岳におけるキベリタテハ,エルタテハ,ベニヒカゲ,クロヒカゲモドキなど蝶14種の記録.

杉本 武:焼津市林叟院9月の直翅類 3071
 1978年9月16日,PM7:00〜9:00における焼津市坂本林叟院境内およびその周辺における直翅類の分布調査報告.キリギリス類6種.コオロギ類15種,カマドウマ類1種,バツタ類2種の合計24種の記録.


      インセクトノート
789 坪井俊久:オオコブスジコガネの採集記録 3072
 1972年8月14日,磐田市における藤下章男氏による採集記録.採集例は少なく非常に貴重な記録である.〔104にて学名訂正〕

790 中西元男:引佐町儀光付近5月中旬の蝶 3072〜3073
 1978年5月11日,引佐郡引佐町儀光付近でのホソバセセリ,イチモンジセセリ,スジグロシロチョウ,ウラクロシジミの幼虫,卵の記録報告.

791 相沢和男:富士山富士宮口のキベリタテハ 3073
 1978年9月2日,7日,17日,表富士における本種の報告.

792 建石敏光:大井川上流のキリシマミドリシジミの形態について 3073
 1977年,1978年榛原郡本川根町横沢で採集し羽化したキリシマミドリシジミの形態についての報告.

793 建石敏光:八ヶ岳東麓海ノロ牧場上部の蝶 3074
 1978年7月および8月長野県南佐久郡南牧町海ノロ牧場におけるベニヒカゲ他11種の記録.

794 渡辺一雄:アオモンカメムシの産卵 3074
 1978年3月3日浜名郡新居町で採集されたアオモンカメムシの産卵についての報告.

795 高橋真弓・鈴木英文:御坂山脈芦川流域のクロツバメシジミ 3074〜3075
 1978年10月1日山梨県西八代郡三珠町芦川流域における記録

796 高橋真弓:清水市折戸のハマオモトヨトウ 3075
 1977年清水市折戸の静岡県立清水南高校校庭における記録.

797 高橋真弓:興津川上流のムカシトンボ 3075
 1978年5月15日興津川上流地域における採集記録.

798 高橋真弓:ジャコウアゲハ♀の吸水行動 3075〜3076
 1978年6月11日静岡市谷沢における本種の吸水行動の報告.稀な例である.

799 高橋真弓:樽峠〜貫が岳6月中旬の蝶 3076
 1978年6月18日静岡県山梨県県境および山梨県貫が岳における蝶類採集報告.ヤマキマダラヒカゲほか8種の記録.

800 高橋真弓:甲府盆地南端部のシルビアシジミ 3076〜3077
 1978年9月24日山梨県西八代郡市川大門町黒沢〜下人鳥居の富士川堤防における本種の採集観察報告.山梨県下でははじめての記録.

801 清 邦彦:山梨県若草町および市川大門町のシルビアシジミ 3077
 1978年10月1日山梨県甲府盆地南部における本種の観察記録報告.

802 清 邦彦:本栖高原でウラギンシジミ 3077
 1978年7月16日山梨県上九一色村本栖高原における本種の記録報告.